HTML殺人事件

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 ルネは女とベッドの上にいる。その女は少女のようでもあり成熟した女性のようでもある。
 彼女はPoem Villageで見かけるネット詩人の誰かなのかもしれない。希羅々だろうか?そうかもしれないし、違うかもしれない。 ルネは、オフで彼女たちに会ったことはないから、サイトに写真を掲載している数人のほかは、どんな容姿なのかわからない。
 いや、それを明確なものとして伝えられないだけで、彼女が誰かをルネはわかっている。でも、実際の彼女は、たぶん、今見ているような顔やヘアや身体のラインではないだろう。

 そこには流れがあった。川のような、あるいは海流のような微温の液体の流れ。彼女は、その流れの中のひとつの波だ。波はルネを捉えようとしている。そして、流れが彼を取り込もうとしている。

 精液が波に吸い込まれ、そして、流れに吸収されていく。流れの中で薄められ、やがて、まったくそこにあるのを認識できなくなり、精液は完全に、そのアイデンティティーを失う。

 それが至福よ、あなたを悦ばせてあげるわ。彼女の表情の中に支配の優越感が読み取れる。彼女は母に変化する。ルネの現実の母親ではない。ユングのいうグレートマザーのような母だ。でも、このグレートマザーは醜く、生臭さを伴っている。ルネは母をきわめて冷静に忌避する。

 もう、そこには、あの大河や海のような膨大な量の液体はなく、流れも波も存在しない。足元にあるのは土だ。まだ沼地のように湿っているが、しだいに乾いていくだろう。母は死んだのだ。死んで土になる。それを止めてはいけない。それは、この世界の生成と変化の過程で推し進められなくてはならないものだ。

 そして、固まった大地の向こうに父親が現れる。彼もルネのリアルな父親ではなくシンボルとしての父だ。もっともルネには、父親の記憶は幼児期のおぼろげなものしかない。

 その大地に立っている父は殺されなければならない。ルネに殺されるのだ。父親を殺す時。それが神話の世界の始まりと終わりと、そして、すべてだ。
 さあ、殺しなさい。それが神話の世界の始まりと終わりと、そして、すべてだ。


 ハイネケンの缶をひとつ飲んだだけだったが、しばらく眠ってしまったらしい。目を開くとルネは、ソファの上で横になっていて、室内も窓の外も暗くなっている。
 この部屋は西日が当たるので午後は暖かく、まだ、その温もりが残っている。だから、しばらく眠ってしまったけれど風邪はひかなかったようだ。
 眠りはPCでいえばメンテナンスにあたるもののような気がする。ルネは病弱だった幼児期を過ぎてからは、ほとんど医者のお世話になっていない健康体なので、発熱や腹痛などは少し眠れば治ってしまう。それから、眠りは鬱状態にも有効だ。
 スキャンディスクやデフラグの時、PCは夢を見ているのだろうか?


 誰かが書き込んでいた通り、来訪者が増える夜の時間帯に入ったちゃんねる・ぜろでは、タツヒコの死を扱ったスレッドが祭りになった。
 投稿のペースがひじょうに速い。新しいものを読み終わってリロードすると、またかなりの数が書き込まれていて、読んでいくのが追いつかないくらいだ。

 だが、これといって注目するような情報にはなかなか出会わなかった。相変わらず常識人たちの神経を逆なでするようなジャンクな書き込みが続いている。

 それでも、ずっと流し読みしていくと、こんなものに巡り会った。


468:私も匿名さん
私は「HP小僧」のコメントスタッフに応募して、採用されたことがあります。
でも内情は、ひどいものでした。まず、何ヶ月分も掲載依頼が溜まっていたんです。
そして、それに古いものから順にコメントをつけるわけなのですが、
あそこの編集システムというのは、ログインして、すぐに編集の個所に行けないんです。
20サイトの情報(URL、タイトル、管理人の宣伝文などがあるので、相当長い)
があるページをスクロールして、いちばん下にあるボタンを押し、その前のページに行く。
それを何十回も繰り返して、奥にある編集個所に行かなければなりません。
私はcgiとか、詳しくないんですが、こういうの、何とかできるはずですよね。
けっこう有名なところなのに、その程度のスキルもないのかと疑問に思いました。

ギャラも微々たるものだったし、こんな状態では、仕事をしても支払われず、
踏み倒されるかもしれないと考え、すぐに辞めました(笑)

469:私も匿名さん
タツヒコって、ITブームの頃、テレビの取材を受けたりしてたね。
ベンチャーの星って感じで。

470:私も匿名さん
>>468
なんだよ、そのシステム。初心者以下のレベルじゃん。
それ、HP小僧の初めの頃?

471:私も匿名さん
HP小僧の投稿システムもひどかったよ。やたら重くてさ。
まだテレホーダイ全盛の頃だから、11時過ぎの2時間くらいは、とても入れなかった。

472:私も匿名さん
香具師のスキルは厨房以下。

473:私も匿名さん
>>470
468です。
いいえ、昨年のことですよ。
同じようなスタッフの人に個人的なメールを出して聞いてみたんですが、
その人もレスに、初心者としか言えないスキルだと書いてました。

474:私も匿名さん
>>471
テレホ。懐かしいね。
従量制のユーザーも多かったし、
やたらネットに繋げてると通信費が大変な時代だったから
HP小僧みたいなので情報を得ると便利だったんだな。
常時接続が一般的になると、いくらでも自分で検索して見て周れるから
ああいいうのは必要なくなるね。

472:私も匿名さん
編集システムは見てないからわからんが、投稿システムは最低だった。
あれはフリーのcgiをほんのちょっと書き換えただけなんだよな。
しかも、奴は恥知らずなことに、そんなものに著作権を主張したりしてた(藁
あの頃はプログラム板でさんざん晒し上げてやったもんだ。

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