
HTML殺人事件
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ame*
<MARQUEE>
ルネは“警告”というタイトルの不可解な書き込みを削除せず、そのままにしておいた。削除することは、怖れとまではいえなくても何かを意識していることになる気がして、抵抗を感じたからということもあった。
その書き込みには、何人かのビジターがレスをつけていた。
name:悪夢
subject:警告
ネット詩は呪われている。
name:takayo
subject:Re:警告
ルネさん、こんばんは。
なにこれ、荒らし…?
削除しないの?
name:
subject:Re:警告
IPわかるのかな?
と言っても、仮に相手をつきとめたところで、
たいした罪にもならないでしょうしね。
name:mayu
subject:Re:警告
これ、なんか怖いよ〜
荒らし、やめてくださいです。
インターネットはデジタルに作られた、まったく無機的な存在なのだが、ルネは、その中で時々、ある種の“におい”やオーラともいえるようなものを感じることがある。
それは、サイトの空間性に混入しているものだったり、あるいはメールや投稿や書き込みの、テキストとか行間から滲み出てくる気体のように見えたりする。それらは何らかの情報といえるのだろうが、たぶん四次元的に包み込まれた裏側に存在しているで知覚できる世界のサイドから見てもその姿をクリアーに捉えたり言葉で表現することはできないのだろう。
この書き込みに恐怖感は感じなかった。でも、単なるいたずらとは少し違うような気がしないでもない。
ルネは、ただ日頃の鬱憤や欲求不満を解消するために荒らしをする人間たちに、ある共通の波長があるような気がしていた。それは、ちゃんねる・ぜろでの卑猥な言葉や偏見・差別が露骨な発言から受けるのと同じもので、腐った魚類が放つ臭気に例えたらいいだろうか。
でも、この書き込みからは、それとは違って明確な対象に向けられている悪意のようなものが感じられないでもなかった。でも、ルネには自分がその悪意を投げかけられている実感がなくて、そのあたりが、どうも不可解だ。
しかし、だからかえって彼がどんな人間かということに興味がわかないでもない。
いずれにしてもディスプレイの向こう、ラインの彼方には、質量のある肉体をもった誰かがいるはずなのだ。
いちばん下に、こんなレスが書かれていた。
name:Helter
subject:Re:警告
ルネさん、おひさです。
最近、新しい詩は書いてないんですか?
まあ、書けばいいってものでもないけどw
ところで、これと同じカキコ、
うちのBBSにも、あるんですよ。しかも3回!!
いったい何考えてるんでしょうね???
IPは一応調べてみていた。アメリカのサーバーだ。たぶん“串”を通したのだろう。
プロクシには外国にある管理のアバウトなサーバーがよく使われる。それだと、かなり重大な犯罪でなければ当局がアクセスログを調べにくいからだ。
name:Rune
subject:Re:警告
>悪夢さん
はじめまして。
別に、このままでも困ることはないので
削除しないでおきます。
一種の晒し上げかもw
>Helterさん
そちらではIP、わかるのかな?
一応チェックしておきたいですね。
後でHelterさんのサイト、
覗いてみますね。
Helterのサイトへ行ってみる。
<HelterのHYPER PUNK WORLDへようこそ>
背景色が黒から明るい鮮やかな色まで輝くように変化し、画面が揺れ動く。JavaScriptを使っているらしい。ENTERの文字をクリックするとフレームの画面に変わる。左隅にあるメニューからBBSを開いた。
ルネのBBSに書き込まれたのと同じ文章が、同じ名前とタイトルで、5日前から1日おきに計3回書き込まれていた。
そのBBSは投稿者のIPが表示されるようになっていた。例の書き込みは3つとも同じIPになっている。ルネはそのIPをコピペして、ドメイン・IPの検索サービスで調べてみた。
それはある食品メーカーのサーバーだった。
12時45分と16時前後という書き込みの時間から単純に考えると、この会社の社員が勤務中の暇な時間に、ちょっとネットでいたずらをしたとも考えられるが、ネット詩を持ち出していたりするので、ただの通りすがりとも思えない面がある。
それとも、そのサーバーは誰かに“串”として使われたのだろうか。しかし、日本にある名前をよく知られた企業のものだから、侵入などされないよう一応の管理がなされているはずだ。
それに、何か法に触れるような行為があった場合、簡単に強制捜査でアクセスログを調べられ、自分の居場所を突き止められてしまう。サーバー管理者からプロクシとして使用する許可が出ているとも思えないから、これ自体が違法アクセスにあたるわけでもある。
もっとも、多段串といって複数のプロクシを経由させることもあるから、この“悪夢”という人物に何かの考えがあって、最後の串をそのサーバーにしているのかもしれない。
ルネは、もう一度Helterのサイトに戻った。
[profile]
HN:Helter
born in Mar.12
Sex:maybe ♂
Occupation:musician,poet
1980年前後から、都内や関東周辺のライブハウスで活動。
音楽その他に関してメンバーと意見が対立。バンドの解散と結成を繰り返す。
インディーズレーベルより5枚のアルバムを発表。
92年頃から心身に変調をきたし、数年間療養。
1998年、衝動買いしたMacで、CGや詩作を始める。
2000年にインターネットを初め、投稿サイトに参加。
2001年1月に当サイト<HYPER PUNK WORLD>を立ち上げる。
作品のページは、場合によっては原型を留めぬほどに加工した画像と配色がサイケデリックな雰囲気を醸し出し、見る者をあたかも幻覚剤を服用しているような気分に導いていく。
スタイルシートを使って、テキストの色や大きさフォントをあちこちで変えていて、背景との関係で読みにくいところもあった。
しかし、これらについては<ABOUT>というサイトを説明したページで、それは意図した表現なのだし、文章の意味などよりこのサイトの雰囲気に浸って欲しいと断ってある。
動的な部分は、マウスを画像が追いかけるJavaScript以外はmaequeeのタグでやっているようだ。でも、よくあるような単純に右から左へ流れ続けるものだけではなくて、端で止まったり上下運動を繰り返したりするのも使っていた。これは設定をすれば、そのように動かすことができるのだ。
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