
HTML殺人事件
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車の多い138号を下って御殿場の市街地に入った。まだ町外れの地域だろう。区画整理がきれいになされていて、建物は皆、比較的新しいようだった。
大型車がよく通るので車道を走るのに神経を使う。今日はかなり走ったので少し疲れていた。歩行者がほとんどいなかったし道幅も広いので、信号待ちを機会にルネは右側の歩道を走った。
横道から出ようとしているバンがいて、車の列が途切れるのを待っていた。ルネがその前を通りすぎようとする直前に、突然、向こうから来た車が停止してパッシングする。バンの運転者は左側を確認したらしくルネが通りすぎるまで待っていた。パッシングでそのまま発進したらルネにぶつかったかもしれない。
ふつうなら、ルネの自転車がすぐ近くに来ているのは目に入っているはずで、下手をすれば事故を誘発する。親切心で道を譲ったにしては奇妙な行動だった。
止まった車のフロントガラスの向こうに顔色の悪いダークスーツの男が見える。無表情だ。病弱なようにも見えたが、とにかく、あまり幸せそうな人間でない印象を受ける。被害妄想と言われそうだが、ルネはその男が自分に対して殺意をもっていたように感じた。
自転車で走っているルネが健康そうだからとか、自由な時間があって遊んでいるように見えて嫉妬の感情を抱いたとか、もっと他の理解不能な動機だってあるだろう。自分の不満やコンプレックスを他者への攻撃に転換するのはよくあることだ。
殺意というものは確たる理由がなくても、ぜんぜん見知らぬ相手に対してでも、どこかで不意に起きるものではある。
御殿場駅からJRで輪行してもよかったが、まだ日も高いので三島まで行くことにした。三島からなら新幹線に乗れるが御殿場線は乗換えがあって面倒だ。
折りたためる自転車か、あるいは車輪を外して専用袋に入れれば手荷物として列車に持ち込むことができる。以前は持ち込み料を取られたらしいが今は無料で、マニアの間では輪行と呼ばれている。
東名高速に沿った道を南下していくと246号線に出た。246と言えば東京では六本木や渋谷辺りを走っているが、それがここまで続いているわけだ。
この道は以前、来たことがあった。歩道は広くて路面に自転車用の表示が見える。車の量が多いので歩道を走ることにした。ずっと緩やかな下りなのでまあ快適と言えるが横道のところに段差があって、かなりスピードが出ているから、なるべくチューブを痛めないよう気をつかった。危険な側溝にしてもそうだが、日本の道路はあまり自転車のことを考えて作られてはいないようだ。
左に見えてきた自衛隊の駐屯地では轟音を上げて戦車が動いている。太陽は右側の山の上に傾いていた。三島駅に着いた時は日没だった。
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