HTML殺人事件

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 エスニックぽい古びたキャンドルスタンドに点火すると、光の輪の中に古い型のテレビやラジカセ、オーブントースターや電子レンジなど、それぞれ簀の子のような物の上に置かれているのが浮かび上がる。ネズミヤは室内をひと通り見回し、ふんふんと頷きながら備品を確認しているようだった。純文学や漫画や実用書などの古い本が無造作に並べられた書棚の横にはギターケースが立て掛けてある。サイドボードには食器やグラスがひと通り並べられていた。

「いやあ、ちょっと出ているうちに何かかっぱらわれちまうこともあるからさあ。こういう貧乏人の物を盗ろうなんてとんでもねえんだけど、いるんだよなあ、そういう奴が。そんな奴は人間じゃねえから絶対死刑にするべきだな」
 点検が終わると彼は、隅に置いてあるケータイの電源を入れ、座卓の上にあるノートPCを開いてスイッチを押した。ケータイとは細いケーブルで接続されている。電源は隅に雑然と置かれた物の中に伸びてその先がどうなっているかはわからない。
 Windows98の画面を見るのがしばらくぶりだったルネは、なんだか懐かしく感じられた。
 PCが起ち上がるとネズミヤはIEのお気に入りの中からひとつをクリックした。どこかのサイトが表示されたがブロードバンドよりはちょっと遅い感じだ。
「これ、ネットに繋がってるんですか?」
「そうよ。ははは。まさかホームレスがこんなふうにしてインターネットをやってるとは、お釈迦さまでもびっくりだろうぜ。なあ、兄ちゃん」
「プロバイダーなんかは…?」
「うん、ケータイは知り合いのヤクザからせしめたんだがな。奴らから金を借りて返せないと、それで利子のいくらかでも払えってんで通帳とかケータイの契約をさせるだろう。まあ通帳はオレオレとかに使うんだがケータイのほうがさばけなかったりするわけだ。それで俺がその辺のヤンキーなんかに10個くらい売りつけてやるんだよ。そうすると1個くれるわけ。料金の請求は来ないかわり、いつ電話会社が通信停止するかわかんないシロモノだけどな」
 「ほら、こっちにもあるぜ」とネズミヤは、その辺りにあるセカンドバッグやリュックや紙袋を開いて中に入れてあるケータイを見せた。
「プロバの方はUGとかいう、そっちの方にちょっと詳しい連中ならすぐわかるような、まあ、そんなやり方よ。でも俺はメルアドもってるし、サイトもあるんだぜ」
 ネズミヤのハウスには冷蔵庫も備わっていた。独身者が使うような小型で古びたものだったが、開くと中のランプが点灯する。ネズミヤは氷の容器を取りだし、やはり古びたアイスペールに移してテーブルに置いた。
「ああ、電源はどうしてるかっていうとだな。まあ、そのうちわかるさ」
 ギターケースの横にあった焼酎の3リットル入りペットボトルを取ってテーブルの中央に置く。3個のグラスにそれぞれ氷を入れ焼酎を注いだ。

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