
HTML殺人事件
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ame*
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BBSやブログのコメント欄への適当な書きこみとはいっても、量も多かったのでトリルはかなり疲れたようだった。放心したような表情でFMのJ-POPに聴きいっている。ネズミヤは、また寝転がってエロ漫画誌を見るのに没入しているようだった。しばらく沈黙が続いていた。
ルネは手持ち無沙汰だったので、PCを引き寄せ、Googleの検索窓に“アクセスパル”と“ACCESS-Pal”のふたつのキーワードを入れてボタンを押した。いくつかのページがhitしたが、アクセスパルをM&AしたTIGERNET社が、後にACCESS-Palに社名を変更したくらいのことしかわからない。ライブドアはon
the edgeに吸収合併されたが、その後、社名としてはライブドアの方が使われているのになぞらえて書いてあるものも多かった。
検索で出たページをひと回りしたがトリルとネズミヤはまだ、それぞれの世界に篭っているようだったので、ルネは詩関係のサイトをいくつか覗いてみた。
Poem Villageの投稿欄には馴染みのないHNが並んでいる。以前の常連がこのサイトを離れつつあると言われているが、たしかに、そのようにも感じられた。
上から新しい順に並んでいる作品リストをスクロールしていくと、最下部に投稿ページへのリンクがある。ルネはそこをクリックした。投稿しようと思ったわけではなくて、ほとんど何気にしたことだった。強いて言えばページのデザインが変わっていることもあるかと思い、ちょっと覗いてみたのだ。
別にデザインを変えてはいないようで、背景もフォントも文章も、フォームの配置も以前と同じだった。ただ、ひとつだけ気になることがある。
それは、投稿ページの名前の欄が、すでに埋まっていることだった。これはcookieの機能によって以前に入力された情報をブラウザが記憶しているからだ。cookieは一度入力した名前やメルアド、URLなどを再度入力しなくて済むのでユーザーに取ってはなかなか便利だが、サーバーとユーザーそれぞれの意思で使わないこともできる。
名前の欄には“Helter”とあった。
つまり、誰かが以前、このPCからHelterというHNを使って投稿したので、その情報が記憶されたため、名前の欄にHelterと自動的に記入されたことになる。
ルネは作者別のページでHelterの作品一覧を開いた。いちばん新しいものは『コノ セカイニ アイヲ』だった。最近のことだし、この投稿があったことはルネの記憶にもある。
投稿された期日は20日程前だった。すでにHelterが死んだ後のことになるから、誰かが彼のHNで送信したのだろう。そして、それにはこのPCが使われた可能性も考えられた。
ルネは、またGoogleを開いて“コノ セカイニ アイヲ”で検索した。
コノ セカイニ アイヲ. この世界のどこかで誰かが手首を切っている彼女の足元にしたたり落ちる血液ちぎられた睡眠薬のパッケージの山WEBの日記に書かれたSOS
...
作品自体が置いてあると思われるページはふたつあったが、そのひとつはぽえ村だったから、ルネは、もうひとつのページの方に行ってみた。アドレスバーのURLをIEの履歴にある3週前のデータと比較してみる。ルネは履歴の中に一致するURLを見つけた。つまり、このPCで投稿の頃、『コノ セカイニ アイヲ』のページにもアクセスしているということになる。HelterのHNを使った人物が、このPCを使ってコピペと投稿を行ったのだろうか。そうだとすれば、それは誰なのだろう。
とにかく、ネズミヤに尋ねてみようとルネは思った。
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