HTML殺人事件

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 ルネは多世界のサイト『many-worlds classics』をひと通り覗いてみて、彼の思考や感性の傾向をいちおう掴めたように思った。ネット詩人の中では新しい領域を追及しようとする流れに属するのだろう。
 もちろんネット上の通例として、彼のプライベートな姿は、その片鱗さえも見ることができない。
 だが、蝙蝠のHNを使って彼の作品をPoem Villageに投稿した者が、彼あるいは彼の作品を選んだ理由はどこにあるのだろう。それは作品や文章の中に存在するのか、それとも、このサイトだけでは見出せないところにあるのだろうか。
 BBSは閉鎖されているし、サイトのどこにもメールアドレスが見当たらなかったので、それとなく多世界に質問することも不可能だった。
 ネット詩に詳しい誰かに聞いてみようかとルネは考えた。

 そろそろ昼食の時間だ。ルネは朝食が遅かったにも関わらず、いつになく食欲があった。自転車なら15分ほどのところにあるイタリアンレストランへ行ってみようか。
 とりあえずtakayoへのメールを手早く書いて送信した。彼女が多世界について知っているかどうかはわからなかったが、何か手がかりに繋がることがあるかもしれない。

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送信者 Rene
 宛先 takayo
 件名 おひさです。
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もう長いこと、コンタクトがなかったですね。
お元気でしょうか?

ところで、今はサイトを閉鎖してる“多世界”さんて
ネット詩人さんのことなんですが、
何か知ってること、ありませんか。
最近、どうしてるかなどについても。

ちょっと興味があるんで
もしわかるのなら、よろしく。

それでは。


Rene

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 PCを終了している時、ラジオからニュースが流れた。
今朝5時20分頃、京都市にある華道高瀬川流本部の離れの同宗家、高瀬川雅堂氏の自宅書斎で、銃声のような音が聞こえたため夫人が様子を見に行ったところ、高瀬川氏が側頭部から血を流して倒れているのを発見しました。高瀬川氏の右手には拳銃が握られており、直ちに救急車で病院に運ばれましたが、そこで死亡が確認されました。警察では自殺の可能性が高いと見て動機や拳銃の入手経路について調べています。
関係者によれば高瀬川氏は、数ヵ月前に長女の麗佳さんが殺人事件の被害者となり亡くなって以来、落ち込みがちだったそうです。
高瀬川流本部では昨夜の講習終了後に人の出入りはなく、家にいたのは雅堂氏と夫人、そして住み込みのお手伝いさん1名だけでした。また、警備会社によってセキュリティは万全に保たれていたということです。

 昼食をとって部屋に戻り、PCを起動するとtakayoからのレスが届いていた。随分速かったが、たぶん彼女は昼にメールチェックする習慣なのでタイミングが良かったのだと思われる。

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