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HTML殺人事件
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送信者 村岸達也
宛先 Rene
件名 ご質問について回答
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ルネ様
村岸です。こんにちは。
あなたには、やはり、僕たちのプロジェクトがどんなものだったかを簡単に述べておく必要がありそうですね。
ひとことで言えばそれは、ネット詩をもっとメジャーにするということになるでしょうか。いうまでもありませんが、いわゆるネット詩人さんの中には、素晴らしい才能をもった方が少なからずおられます。しかし、その方たちはメディアのようなメジャーな世界でしかるべき評価を受けているわけではありません。優れた作品に日が当たり、できれば作品から得られる稿料や印税などで才能ある詩人さんたちが創作に専念できるような状況をつくれたら、と考え、ある計画をもちかけたのは、僕の古くからの友人で投稿サイトを運営しているAでした。
その計画とは、まず、ネット詩人の中からスターを誕生させるということでした。候補は複数挙げられたのですが、結局、第1にプッシュする対象として選ばれたのは高瀬川麗佳さんです。
彼女は古今東西の多くの詩に触れ、そこから学び吸収していますから、作品のクオリティはプロの批評家を満足させ得るレベルに達しています。しかし作風はポップで、純粋詩を書く人にありがちな難解というような部分もなく、おしゃれな恋愛詩が多いのでティーンエイジャーにも受ける要素がある。ルックスもまあまだし、名家の生まれなので話題性にも事欠かない。このような理由から麗佳さんをメジャーな位置に押し上げ、ネット詩全体が脚光を浴びる突破口にしようと考えたのでした。
というわけで、何となくメンバーも集まりました。まずAと僕、そして麗佳さん、そして、紙メディアでも詩人として活躍されているSさん。Sさんはコンピューターへの造詣が深く、多くのネット詩人などより早くから自身のサイトを作られていて、僕たちと既成メディアの掛け橋のような役割をお願いしたところ、快諾してくださいました。
それから、SさんのサイトのBBSの常連でオモニさんという方が、この計画に興味をもっているということで、Sさんに紹介されて加わりました。
後は麗佳さんと親しい方が3人。そのうち一人はあの事件の時亡くなったdarkblueさんです。
でも、結局僕は、そのプロジェクトを離れることになりました。AとSさんもです。いつしか僕たちを除いた5人だけで、すべての話がんでいるような状態になっていたからです。
僕たちがつんぼ桟敷(差別用語?)に置かれただけでなく、5人の行動には疑問を感じることが多々ありました。ある特定の人を陥れようとネット上で誹謗中傷したり、迷惑メールを送ったりしていたと聞いています。
私の友人のAは、麗佳さんたちのグループは「仮想敵」を作っているのだと言っていました。彼はちゃんねる・ぜろふうに言えば「プロ市民」で、反戦や環境問題の運動に関わっているのですが、そういう団体の中ではよくあることだそうです。
組織にとって何らかの危機的状況を乗り切るため、仮想敵を定めて、それを攻撃することによって構成員の結束を図るもので、なかなか有効な手段だそうですが、これは宗教団体や、あるいは国家などでも歴史上で時々見うけられる話ですね。
まあ、僕はそのグループについてあまり把握していないのですが、その仮想敵にされていた人たちの中に多世界さんや希羅々さんもいたようです。
麗佳さんたちの事件は僕も、報道で知っています。希羅々さんが亡くなっていたことはルネさんのメールではっきりと知りました。だからもう、この程度のことなら構わないと思うのでお知らせしました。
オモニさんという方は昨年暮れからネット上に姿を見せなくなっているそうです。Sさんにメールして尋ねたところ、詩を発表する時は「オモニ」とは別のHNを使っていたようですが、何というのかは聞いていないそうです。
僕にわかることと言えばこのくらいですが、満足のいく答になったでしょうか?
それでは。
村岸達也
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ルネがメールしてから2日経って、村岸からのレスが届いた。
内容から、村岸が関係者に問い合わせて、確かな情報を送ってくれているのが推測された。
文中にプロジェクトのメンバーは8人とある。
村岸、彼の友人A、紙メディアで活躍している詩人S氏、レイカ、darkblue、そしてS氏の紹介で加わったらしいオモニで6人だ。
ルネは以前、レイカに関連するサイトを回っていた時、村岸の言っている計画と似たような内容の記事を見た記憶があった。そこには、たしか、レイカのリンクページから行ったはずだ。
レイカのサイトはもう閉鎖されて存在しないので、かつてのURLをもとにInternet
Archiveに保存されているページを探した。[ポプラの徒然日記]というブログを見つけ、行ってみる。
さて、受験はすべて失敗です。浪人して来年うまくいく自信もありませんし、そのまま自堕落な生活を続けていたらフリーターやニートになってしまいそうな気もして、そのことを両親も心配しています。そういうわけで就職することにしました。すでに採用も決定しています。どんな仕事かは聞かないで下さい
もう僕が文章を書いて公開することはないでしょう。数ヵ月前、もう終わりにしようと思い、ここにも書きましたが、たしかにあの時以来もう詩作はしてません。しかし何か残った未練のような感じで、たまにこの日記を書いたりしてました。でも、本当にこれが最後です。
皆さん、ありがとう。お健やかで活躍されますようお祈りいたします。
2月下旬の記事を最後に[ポプラの徒然日記]は更新されていない。このままだと、数ヵ月にはブログの管理者によって削除されてしまう規定になっているだろう。
ルネの記憶にあった日記を探し、もう一度読んでいくと、次のような部分が興味深かった。
やがて、ここにいるみんなは有名になって、原稿料や印税など人並み以上の収入を得られるようになる。
名指しでの誹謗中傷のようなことは日常茶飯事でした。というか、みんなで意識をひとつにして、そこにいないスケープゴートを攻撃するゲームで僕らは盛り上がっていたのです。
そのメンバーは最初、8人でした。それが誰か?まあ、ここに来る皆さんは、ご存知ですよね。
その頃はレイカさんもまだ19歳だったから、みんな10代でしたが、…
このあたりから、ポプラが村岸の言っていたプロジェクトのメンバーだったと結論づけて間違いはないだろう。
これでレイカのグループ8人のうち、7人のメンバーが判明したわけだ。
後のひとりだが、文中に“それが誰か?まあ、ここに来る皆さんは、ご存知ですよね。”となっているから、ネット詩人のある部分では、よく知られているのかもしれない。ポプラの文を読んだ限りでは、そのメンバーも当時十代だったのだろう。
そのページにあったアドレスでポプラにメールしてみたが、もう使われてないらしく、MAILER
DAEMONからUser Unknownで戻ってきた。
[To be continued]
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