HTML殺人事件

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 ルネはミニベロの試乗がてら、あの日、ネズミヤと待ち合わせた公園に行ってみることにした。もしかして源さんが来ていないかと思ったのだ。
 ミニベロはタイヤが20インチと小さいから、ネズミヤが外股で乗っている姿は、まるで、子供自転車に乗っている中年のコメディアンった。ルネは走りながら横目で、カーショップのウインドウに映る自分の姿を見たが、別にそれほど悪いこともないと思う。

 公園のフェンスの外を周りながら中を見ると、子供とその母親らしい数組がいる。
 ルネにはそこに自分とは別の時間が流れているように見えた。それは遊具や砂場や水飲み場のような人工物の時間だ。それらばかりではなく、管理された花壇や樹木だって、いや、この公園そのものが人工物だし、その中に存在する子供や母親にしてもそうなのだ。
 すべての時間はタイムテーブルの通りに動いている。離乳食や幼稚園や塾や受験や就職とか、結婚を前提にした交際や夕食を作っている時ケータイに入る夫のカエルコールやPTAやカルチャースクールといったものが、そのタイムテーブルの内容だ。

 樹木に日光を遮られ、湿った感じがする領域の一角にあるベンチ。そこに座って宮沢賢治詩集を読む源さんの姿は欠落している。その辺りはたぶん、この公園の中で、あらかじめ欠落した空間なのだが、源さんの不在によって、より欠落がその輪郭を際立たせているようだった。

  ********

 夕食の後、しばらくテレビを見てから、ルネは昼間見たちゃんねる・ぜろのスレッドを覗いてみた。書きこみは増えている。そのほとんどは興味を惹くような内容ではなかったが、スルーして行くうちに、思わず目を留めた個所があった。

732:報道する名無しさん
 三多摩スレで、銭形さんのカキコを見たので来ました。

 僕は夜間に甲州街道でジョギングするのが習慣です。
 住宅地だと不審者と思われ、職質されたりして気分悪いこともあるので、
 家に近い3キロ程の区間を何度か行ったり来たり走るんです。
 事件のあった辺りの時間帯にホームレスらしい二人連れの中年男が
 歩いていたのは記憶にあります。

 それと、数人の男女も見かけました。
 その人たちはホームレスと2百メートルくらいの間隔を空けて歩いていて、
 往復する僕は何度かすれ違い何度か追い抜きました。
 ホームレスが長い距離を歩くのはわかりますが、
 普通の人間が3キロも歩いているのは、あまり見ないし、
 その時は、まるで、前の二人を尾行しているようだなと考えたりしました。

 少し後に、同じ人物からと思われる補足の書きこみがある。

738:732
 ↑でちょっと書き足りないことがあったので、続きです。
 実は二人連れのホームレスをつけているように見えたグループの中に
 見覚えのある顔がいました。
 駅の近くで変なパンフレットを配っている人たちです。
 「瑞穂の会」という宗教団体らしいですが、
 僕がパンフレットを受け取ると
 「ありがとうございます。あなたは神の子です」と手を合わせて
 僕を拝みました。
 いい話が聞けるからと集会所のようなところに誘われましたが、
 あまりにもキモいので、僕はその場をすぐ離れました(笑)

 それから、たぶん同じ人たちなんですが、
 近所の家から出て来たのに出くわしたことがあります。
 セールスをして回っていたみたいです。
 健康食品のパッケージや木の箱を持っていました。
 友達のところに売りつけに行った話を聞いていましたので、
 ああ、これかと思ったんですが、
 たしか、瑞穂の会というのとは別のカルトがやってるはずなので
 ちょっとおかしいなと思いました。
 人手不足になったりすると宗教団体同士で助っ人に行ったりとか
 するんですかね?

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