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HTML殺人事件
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[紙片6]
軍曹は俺が助手席のドアを閉め終わるのと同時に車をスタートさせる。「お疲れ様です。大尉」車が幹線道路の流れに入って落ち着いた時、軍曹は口を開いた。「検問をやるでしょうかね」「そうだな。真昼間から新聞社の支局が襲われて、記者が殺されたとあっては当然やるだろう」俺は隣の車から見えないよう低い位置で、銃身を短く切った散弾銃を手早く分解した。「共産主義思想をばらまくサタンの使徒、左翼マスコミを処刑したとはいっても、警察にしたら何らかの対応をしないわけにはいきませんからね。大尉」特殊要員の間では、教団から与えられたハングル語の名前さえ互いに知ることはなく、ただ階級で呼び合うだけだ。俺と違って軍曹はミッションの内容を知らされていなかった。あの記者はそういう理由で殺されたわけではないのだ。だが、そう遠くないうち、信者たちの間ではひそやかに、そして迅速に、重苦しい怖れの感情を伴った噂のリレーが行われるだろう。それは軍曹にも届く。その夜のニュースでは計画が着々と進行していた。被害者の自宅まで強引に踏みこんだTVカメラが妻の顔をアップで捉える。モザイクはかかっていない。必ずしもマスコミ関係者の身内だから取材に協力的なわけではないと思
う。たぶん裏で、ある力が働いているのだ。とにかく、どこかのテレビの前で、それを見ている者が妻の顔に見覚えがあるのに気付く。講師がやけに激昂した調子で語ったり、意識が浮遊したような状態になるビデオを見せられたり、一同が不気味なほど静まり返って祈る集会で、あるいは、健康食品や壷の入ったバッグを持ってセールス先の町に運ばれていったマイクロバスの中や出家信者たちの混じり合った体臭で奇妙な雰囲気に包まれた合宿所で確かに見かけた顔であることを思い出すだろう。彼女はいつしか姿を消していたが、そうか、結婚して市井の生活を送っていたのか。しかし、それは神に背を向けたということに他ならない。彼女の顔を覚えている何人かは、こう確信するだろう。彼女は雷に打たれたのだ。いったん神に近づいたが、そこから離れたため、雷に打たれて死んだものがいます。教団の中でまことしやかに囁かれている言葉。それは現実に形をとって現れた信仰の中の奇跡かもしれないが、同時に忌まわしく恐ろしい事実でもあるのだ。しかし、神のみわざはあまねく述べ伝えられなくてはならない。噂はドミノ倒しのように、あるいは液体が布に染み込むように、瞬く間に信者の間に
広がっていくだろう。そして、各々の意識の深層に刻み付けられ、かれらの行動を規制する。メシアは人間をコントロールする方法に長けている。いったん、その手中に絡め取られた者は、どんどん深みに嵌っていく。
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